『ガンニバル』のキャラクターの中でもトップレベルの戦闘力を持ち、後藤家の次期当主である恵介に付き従う後藤岩男。
ご存じの人も多いかと思いますが『ガンニバル』は既に完結しており、後藤家の過去と共に岩男の正体についても明らかになっています。
岩男は幼少のころより恵介と共に育ち、後藤銀からは後藤家の兵隊となるべく洗脳のような教育を受けてきた、後藤家次期当主の右腕ともいえる存在です。
後藤家が警官隊に囲まれた時、「あの人」と共に警官たちを制圧したシーンは鬼気迫るものがあり、その後の展開では壮絶な最後を迎えています。
今回はそんな岩男の正体とどのような最後を迎えたのか、個人の見解も少し交えながらご紹介していきたいと思います!
Contents
ガンニバルの岩男の正体は?
岩男の正体は、食人習慣が根付いた山賊の末裔です。
そんな祖先の血を受け継いでいるものの、作中で岩男は暴力的な一面は多々見られましたが、食人欲求は最後の最後まで現れていませんでした。
では銀の手引きで供花村に住みついた山賊たちの食人習慣は、後藤家となった後の生活で途絶えたのでしょうか?
岩男が生まれた世代では山賊としての食人習慣はほぼなくなっており、「あの人」以外の後藤家の人間も人を食らっていない様子でした。
しかし最終決戦では自我を失った岩男に人を食らっていた頃の祖先が顕現し、山賊の血を引く後藤家の面々は屍となった「あの人」に食らいつきます。
その描写から、長い時間を経て根付いた山賊たちの食人習慣はいつしかその遺伝子にも刻まれて、途絶えることはなかったということがうかがえます。
銀が後藤家に生贄を捧げさせることには、「あの人」を現人神(あらひと)と崇めさせることで、山賊たちの食人欲求を抑え込む効果もあったのかもしれません。
ガンニバルの岩男は山賊?
岩男の祖先は、銀が後藤家と供花村を乗っ取るために手を組んだ山賊でした。
山賊たちは山に入った余所者を狩ることを生業としており、人肉を食らうことは彼らにとってほかの肉を食べることと変わらない食習慣となっていました。
しかし時代の流れに逆らえず、今の生き方では生き残れないと考えた山賊たちは、新たに住む場所を求めて供花村近隣の山に流れ着きました。
その山中で、奉納祭の生贄として縛り付けられた銀と出会います。
銀は山賊たちに食われそうになりますが、供花村を新たな住処にすることを提案したことでそれを回避し、同時に戦力と生き残る術を得たのです。
銀が村人を襲ったあと、死体を木に吊るしたり内臓がきれいに抜き取られた描写がありましたが、それは素人ができるような芸当ではありませんでした。
このことから、銀が山に入った村人を捌いて食らうことで生き延びたのも、山賊たちから食人に関する知恵と技術を与えられたからと考えられます。
因みに、この辺の件を読んだ読者の中には「どうして銀は来乃神の本尊に捧げられなかったの?」と疑問に思った人もいるのではないでしょうか。
その点については作中で読み取れませんでしたが、もしかしたら本尊に捧げても銀の味方をしていた正宗に解放されるかもしれないと考えたのかもしれませんね。
ガンニバルの岩男の正体は漫画何巻で読める?
漫画の11~12巻辺りで、岩男の正体と祖先である山賊について詳しく描かれています。
正宗の回想で山賊たちは登場し、供花村と後藤家の間に起こった事件で彼らがどういう経緯で銀と手を組むことになり、村に根を下ろしたのかが語られています。
前項でお伝えしたとおり、岩男の祖先である山賊たちは山に入った人間を狩りながら生きてきましたが、その生き方に限界を感じて新たな住処を求めていました。
そんな折に山で縛られていた銀と出会い、持ち掛けられた提案を受け入れ手を組んで供花村を新たな住処としたのです。
この辺の話は過去と現在が交錯しながら供花村と後藤家の事件と、〝呪い〟について謎が明かされる重要な話が描かれています。
話が進むにつれて少しごちゃついて分かりにくい場面もありますが、先が気になって早くページをめくる人もいたのではないでしょうか。
『ガンニバル』は登場人物が多い上に人間関係が絡み合った作品ですので、情報を整理しながら読み進めたり、読み返しながら進むことが必要になります。
ガンニバルの岩男の最後がどうなるかネタバレ紹介!
警官隊や阿川大悟との戦闘で生きているのが不思議なくらいの深手を負いつつ、恵介を探しだすため岩男は正宗の案内で最後の舞台である奉納祭の場に現れます。
「あの人」の最期の意思を汲み、恵介は後藤家の人々に投降するよう促しますが、恵介が大悟に誑かされたと激昂した岩男は大悟に襲い掛かったのです。
混乱する状況下で岩男は正宗に頭を撃ち抜かれますがそれでも倒れず、撃たれた影響なのか自我を失って食人族として生きた祖先の遺伝子に精神を支配されます。
その姿はその昔後藤家と村人が衝突した事件の際に現れた岩男の祖先である男そのもので、正宗を戦慄させるのでした。
自我を失った岩男の中からは恵介の存在が消え、儀式に参加していた自分と同じ祖先の血を引いている後藤家の人々を煽動してその場にいた人間を襲わせます。
恵介はそれを制止しますが、襲い掛かる後藤家の人々にはもはや恵介の声は届くことはなく、大悟はましろを連れて逃げろと、恵介にこの場を退かせます。
岩男は自分を撃った正宗の存在を認識して襲い掛かりますが大悟がそれを阻止し、最後は大悟との激闘の末にその命を散らしたのでした。
ガンニバルの岩男と後藤家の関係は?
これまでの内容から分かるとおり、岩男は後藤家本家筋の血を一切引いていません。
当主となった銀も養子であり、もともと本家筋の血は引いていませんので後藤家は実質的になくなり、まったく別の一族となったと言えるでしょう。
岩男の祖先である山賊たちは銀が後藤家を乗っ取った事件から、後藤家を名乗り供花村で生活していくことになります。
その後山賊たちはそれぞれの子孫をつくり、その血は受け継がれながら70年余りの時間を経て現在の後藤家となったのです。
子孫たちは銀が統率する後藤家で育ち、「あの人」を神として奉りながら徐々に食人習慣は薄れていきましたが、食人族の遺伝子も確かに受け継がれていました。
それでも幼いころから一緒に育った恵介や岩男、そのほかの山賊の子孫たちの間には絆が結ばれていったのだと思います。
特に岩男は、恵介を守ることが使命かのように幼少のころから見守っており、その様子は「えっ、それはもう恋なのでは?」とツッコみを入れたくなるほどでした。
最初は何の繋がりもない者同士の集まりだった後藤家は、同じ一族として過ごしていくうちに、時を経て確かな繋がりができていったのではないでしょうか。
まとめ
『ガンニバル』では「あの人」に次ぐ強敵で恵介の右腕ともいうべき存在である、岩男の正体とその最後についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
岩男は銀の洗脳のような教育で後藤家の兵隊となり、恵介と後藤家のために生きてきましたが、時折思い返す過去は決して苦しいものではありませんでした。
最後は祖先の遺伝子に取り込まれても、幼い頃から育まれた恵介に対する親愛と絆は嘘偽りのないものであったことが作中から読み取れます。
恵介と後藤家を守ろうとしていた岩男もまた、『ガンニバル』の中でも愛情の深い人物の一人だったと思います。
ストーリーが進むにつれて暴力的な面が際立っていきましたが、家族や大切な人を外敵から守ろうとするその姿こそが、岩男の正体なのかもしれません。